2022年01月18日

昔話・3










『……やだ、…やだ、……や、や……もう、や…… ぁ…』
『……イツキ。もう終いだよ。……帰るぞ』
『……や……』


安っぽいサテンのカバーが掛かった毛布を頭の上まで引き上げて
泣く、イツキを、宥める。
見知らぬ男にただヤられるだけでも嫌だろうし、それ以上に嫌な事もされるのだろう。

毛布ごと抱き締めて、大丈夫大丈夫と、耳元で声を掛ける。
気が昂ぶるのか、何か悪い薬でも使われたか、まだパンパンに腫れている股間に手を伸ばす。


『俺…だめ……、変……、おかしいの。……おれ、…だめなの……』
『イツキ。大丈夫だって。こんなの、ただ勃ってるだけだから。フツーだから』
『だめなの。………おれ、欲しくなっちゃ……だめなの……』





イツキは、確かに、変だった。

佐野とて、この商売をしていてそれなりに、欲にまみれ溺れる人を見て来たが

イツキはその度合いがまるで違う。

どぷんと沼の底に落ちて、辺りにその芳醇な匂いを撒き散らす。
端にいるこちらが巻き込まれる。隠しているはずの一番原始的な欲が、


否応なく、掻き立てられる。



尻の間に手をやると、前の男の名残かイツキの粘液か、まだ濡れそぼっていて
境目すら解らず、ずるりと指が、中に入る。

ただ誘われただけなのに、『嫌』と言うイツキの声が、妙に背徳感を煽る。



『…おまえ、まだ…ぐちゃぐちゃじゃんか。……足りない分、…やるよ……』
『……や。……だめ……』








イツキの『駄目』はアテにならない。
解っているのに、まんまとハマる。

慰めているか誘われているのか、どっちに分があったのか解らないが

取り敢えず、この頃のイツキと佐野の距離は、

心も身体も、ぐっと近くなっていた。







posted by 白黒ぼたん at 18:32 | TrackBack(0) | 日記
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