2022年02月07日
コンビニ
駅からマンションへの道すがら丁度良い所にコンビニがあって
いつもイツキは帰り道に寄って、あれこれ買い物をするのが日課になっていた。
食料品や日用品。本当は少し離れた場所にある大型スーパーにでも行けば
種類も、価格も、満足するものが売っているのだけど…なかなか行けるものでもない。
「……マサヤが車、出してくれればいいのにね……」
イツキは小さくボヤきながらコンビニの棚から洗濯洗剤を選ぶ。
いくら最近は争い事もなく穏やかだとはいえ、あの男と黒塗りのヤクザ車でスーパーへ行くのは
まだ少し、色々、早い。
割高な調味料とスナック菓子を2袋。
まだ牛乳は残っていたかしらんと、冷蔵ケースの前で立ちすくむ。
単身者が多いい地区なのだろう、惣菜や弁当類は豊富なのが嬉しく
酒の当てになりそうなツマミと、明日の朝食のサンドイッチもカゴに入れる。
生活をする、と言うのは大変なのだな、とイツキはしみじみ思う。
この先、このままずっと、黒川とこんな暮らしをして行くのだろうかと…ふと、思う。
恋人とも、まして夫婦とも違う。好きだの嫌いだの、そんな感覚も…特にない。
ただ余りにも一緒にいる時間が長過ぎて、全てに、馴染んでしまっていた。
「…唐揚げ5コ。…あと27番の煙草いっこ」
レジのカウンターでそう告げる。
店員が煙草を取りに行く間に、イツキはカゴに、小さなチョコをいくつか入れた。
posted by 白黒ぼたん at 13:40
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