2022年02月17日

居酒屋会合・4









テーブルに注文した料理が並び、皆、静かに食べ始める。
黒川は別にどうでも良いといった感じで、隣の一ノ宮と仕事の話しを始める。


「…レノンくん、はい。唐揚げ。…レモン掛けちゃったけど」


イツキはレノンの取り皿に料理を取ってやる。
視線を逸らせ、自分とも黒川とも視線を合わせようとしない。
まだ緊張しているのだろうかと思う。

自分に話がある、と確か言っていたが…なかなか、その切っ掛けは訪れない。
仕方がなくイツキはビールを煽り、レノンの、腹の空き具合を心配する。


「幾つだっけ?…14歳?…食べるよねぇ? ああ、洋食の方が好きかな。俺、よく佐野っちとファミレスとか行ったよ。…甘いものも好きでさ…」

「そうやって、何でもペロリと喰っちまうんだよなぁ。ああ、喰われるの間違いか」



まるで部外者だった黒川が急に割って入り、茶々を入れる。
レノンをリラックスさせるためにわざと多弁になっている事を、解らない訳ではないだろうに。

イツキは黒川を、ムスッと睨み
黒川は鼻で笑い、コップの熱燗を啜る。
さらに「…頭から、丸呑み」などと呟いて
隣の一ノ宮からも、睨まれる。






「……………っす」
「……えっ?」


やっと開いたレノンの口からは、小さな小さな声が漏れる。




「………15…です。……洋食でも、和食でも……食べられます。
…………あの、………この間のこと、………スイマセン」







posted by 白黒ぼたん at 10:23 | TrackBack(0) | 日記
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