2022年02月19日

居酒屋会合・5









普段は威勢が良く、やや乱暴な言葉遣いをするレノンだが
今日は大人しく、神妙。慣れない敬語なぞ使ったりする。

それだけ、一応、先日の一件を気にしているのだろう。
レノンだけが悪い、と言う話でもないのだけど。




「……俺と間違えて…仕返しされたって聞いて。…なんか…
あの日は…俺のこと心配して来てくれてたのに…悪かったなって……」

「あ。いや。まあ…」


『気にしなくていいよ。大したことじゃ無いから』と、言うほど些細な話でもないが
イツキにしては…割と良くある話で、酷く深く傷付くほどの事件ではない。
それよりも、その事に対して、素直に謝罪をしてくれる気持ちが嬉しくて
イツキは妙にソワソワしてしまう。



「…どっちもどっちだ。恨まれるほど下手糞なセックスなんざ、聞いたこともない。
イツキも。ぼんやり突っ立ているから、連れて行かれるんだ。迂闊過ぎる」



独り言にしてはやや大きな声で黒川はそう言う。
再度、イツキに睨まれても、ふんと鼻で笑うばかり。



「……そもそもマサヤが悪いんじゃない?…マサヤが…色々、教えたんでしょ」
「客の鼻を殴れとは教えて無いぜ?」
「……じゃあ、やってる事自体に無理があるんだよ。だから、問題が起きるんだよ」

「……まあ、まあ…」



軽く言い争いになるイツキと黒川をに、割って入り宥めるのは一ノ宮の役目。
とりあえず、空のグラスに酒を満たす。



「…あの日は不運が重なりましたね。…イツキくんには申し訳なかった。
レノンくんも、ちょっと、暴れ過ぎちゃいましたか。
……社長には佐伯氏から電話があったのですから…、きちんと確認するべきでしたね」






posted by 白黒ぼたん at 21:47 | TrackBack(0) | 日記
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