2022年02月21日

居酒屋会合・6









「………なんだよ。俺も悪いのかよ」


一ノ宮に嗜められ、黒川はつまらなそうに呟き、酒を煽る。
まあ本当に責められている訳でも、機嫌を損ねている訳でもない。

その様子を見て、レノンは少し驚いた様子だった。





「……なんか。……違う。……もっとヤな奴だったのに……」
「………ん?………マサヤの事?………うん、ヤな奴だよね…」



思わず小さな声が漏れたレノンに、イツキも小さな声で答え、くすくすと笑う。
普段「仕事」絡みで接する黒川と、今、目の前の黒川とでは、まるで雰囲気が違うのだろう。

イツキは…自分がまだ、レノンの立場だった頃を思い出す。
怖くて怖くて恐ろしくて、何もかもが嫌だった頃。どうにもならない状況の中で
……ほんの少しの心が緩む瞬間が……どれだけありがたかった事か。




「あんた、……あいつの恋人なの?……売春させられてたのに、好きになったの?」
「……えっ、……いや。……あー、でも、……そういう事なのかな………」
「…………物好きな奴。………頭、オカシイだろ……」




イツキへの謝罪を終えようやく落ち着いたところで、レノンの毒舌が戻って来た。






posted by 白黒ぼたん at 20:23 | TrackBack(0) | 日記
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