2022年02月22日

居酒屋会合・終









食事も終わり、イツキも黒川も丁度良い酔っぱらいになる。
一ノ宮も飲んでいた筈だが、そう雰囲気は変わらない。

イツキは、少し位は、レノンと打ち解けたのではないかと思う。
仲良しコヨシになって、だからどうだという話でもあるが
常に喧嘩腰で、トラブルが起きても何も相談も出来ない、よりはマシだろう。



「……では社長。明日は16時から。車は向こうが手配するそうです。
書類は私が預かっています。会長への手土産は事務所に置いてあるので…」

「ああ」

「歩いて帰られますか?お気をつけて。…私はタクシーでレノンくんを送って帰ります」



どんな時もきちんと仕事をする一ノ宮に、イツキは感心する。



「レノン。週末は出掛けて貰う。そのつもりでいろ。今度は下手を打つなよ」



会計を済ませて席を立つ。帰り際に黒川がレノンにそう告げた。
楽しげな時間を過ごしていても、レノンだけが使役される立場なのだと思い出す。
レノンはふと視線を落とし、「解ってるよ」と低く吐き捨てる。
隣でそれを聞くイツキまで、胸が苦しく、重くなる。



もう少し、どうにかならないものかと…イツキは黒川を見遣り、黒川もその目線に気付くが
なら、お前が替われよと言わんばかりに鼻息を吐く。





「…レノンくん。私がイロハを教えましょうか?
社長より教えるのが上手かも知れませんよ?」




場を和ませる為の冗談なのか、それとも、実は本気なのか
最後に一ノ宮がそんな提案をして


居酒屋会合はお開きになった。







posted by 白黒ぼたん at 22:48 | TrackBack(0) | 日記
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