2022年03月01日
思惑
最近のイツキは生意気だと黒川は思っていた。
勿論、もう、どう扱っても良い商売道具などとは思っていないし
自分にとっておそらく、重要な存在なのだろうと……まあ認めてはいる。
だからこそイツキが望めば、お遊びのような石鹸屋の仕事も許してやるし
嫌がることも泣かせることも、極力遠ざけるように努力はしていた。
その状況にイツキは、調子に乗り、我が儘で生意気になっているのではないかと
ふと、思う。
そもそも……我が儘、でもない。普通に、ただの、自由な意見という位なのだが
イツキ相手に対等な関係など築くつもりもなかった黒川には、どうにもまだ、状況に納得が行かないところだった。
「……少し、寄っていくぞ……」
「……………え?」
ある夜、食事の帰りに、黒川はイツキをホテル街へと誘う。
二人で暮らす部屋があると言うのに、わざわざ、専用の場所を用意する時は
行為の最中、大声を上げたり…あたりを散らかしたり、汚したり…
そんな事の心配がある場合なのだと、お互い、知っていた。
乱暴に組み敷き、立場を解らせる。
そこまで思っていた訳でもないが
まあ、たまには泣かせるのも良いだろうと
黒川はほくそ笑む。
「…良いけど。俺、明日、お休みだし。ああ、でも、そんなんだったら
締めのラーメンまで食べなきゃ良かったじゃん。……しかも豚骨…」
黒川の思惑を知ってか知らずか
イツキは自分の口元を抑え、臭いなどを気にしながら
呑気に、黒川の後を付いて歩いて行った。
posted by 白黒ぼたん at 23:15
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