2022年03月15日

思惑・6







何度か突き上げ、奥を抉る。
イツキは艷声を上げ、身体をくねらせ、黒川を受け入れる。
一際高い声が出そうになると、手を当て、それを噛み殺す。
いつもマンションの部屋で抱かれている時の癖なのだろうが
……今日はその声が聞きたくてホテルに来ているのだと、
黒川はイツキの手を払い避け、手首をベッドに押し付ける。


もう片方の手を枕元のパネルにやって、小さな灯りを一つ、付ける。

自分が征服しているはずのイツキを見下ろすと、イツキは、潤んだ目で黒川を見上げる。
ただ視線が合っただけなのに、イツキの中が急に締まり黒川は慌てる。


「……マサヤ、………もっと…」


半開きの唇から言葉が漏れる。

焦らしてやるつもりが、中々、思うようにはならなかった。








実は、イツキにも思惑があった。




最近の黒川との関係は落ち着いているとは言え…
確かな約束も保証も何もない日々に、不安を感じない訳ではない。
「仕事」をしていた以前のように、黒川の役に立つ事もない。
まして、その不安を振り払ってまで黒川の傍に居たいという自分の気持ちにすら、根拠がない。


今現在、どれだけ、互いが互いを必要としているのか知りたいと思っていた。



ホテルに誘われた時には、それを確かめてやろうと思っていた。



まあ、だからと言って、それらを全て計算の上でコトに及べる程、イツキは頭脳派ではない。



始まってしまえば成り行き次第。それが、この結果なのだから怖い。




posted by 白黒ぼたん at 22:54 | TrackBack(0) | 日記
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