2022年04月16日

雨の夕方・3








高校時代にグレていたからと言って、全てが全て、ヤクザや犯罪者になる訳ではない。
一ノ宮も喫煙や飲酒、喧嘩などの悪さはしていたが、自分がそういった者になるとは思ってはいなかった。


状況が変わったのは卒業を間近に控えた頃。

一ノ宮の兄が、交通事故で死んでしまったのだ。



優秀な後継を亡くし、両親の悲嘆は測りしれなかった。
そして、後を頼めるのはお前しかいないと、今度は一ノ宮に期待を掛ける。
今更そんな事を言われても受け入れられるものではないと、突っ張ねるのだが、

意外にも引導を渡したのは黒川だった。




『いい機会じゃないのか?
このまま悪ぶってみた所で、ロクなモンになりゃしない。
チンピラ、ゴロツキ。社会の底辺でケチな犯罪に巻き込まれるのがオチだ。
普通に生きられるのなら、その方がいい。

どうしたって、それが出来ない奴だっているんだからな…』




そう真面目な顔で諭されて


一ノ宮は家に戻る決意をする。






posted by 白黒ぼたん at 23:35 | TrackBack(0) | 日記
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