2022年04月24日

雨の夕方・5








その頃の黒川は噂通り、反社会勢力と言われる組織に属していた。
昔から馴染みの、遠縁に当たるそうで、黒川にしてみればこの道しかないというくらい
真っ当なルート。



『……お前は、違っただろうに。…なんで戻って来たんだよ』



久々に再会した夜の街で酒を飲み、その日の内に、一ノ宮は黒川と同じ組に入ることを決めた。




再び道を外れた一ノ宮は以前にも増して乱暴で、手が付けられなかった。
親の期待にも応えられず、自ら決めた進路を全うすることが出来なかった。
自暴自棄、という方が良いのか。
所属した組はどちらかと言えば温和な組だったのだが、その中でも目ざとく争い事を見つけ
先鋒に立ち引っ掻き回し、それを黒川が宥めるという

今ではまるで逆の立ち位置だった。



『…この際。ここいらの頭になろうぜ、雅也』
『焦り過ぎだ、修二。親父さんも、そんな事は望んでいない』
『ヌル過ぎんだろう。そんなんだからアイツらにデカい顔されるんだよ」


シマの境界では長い間、向こう側を仕切る組との小競り合いが続いていた。

組としての格が低い向こうは地元の不良など小物を掻き集め、事あるごとに、こちらに嫌がらせをしていた。






posted by 白黒ぼたん at 21:52 | TrackBack(0) | 日記
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