2022年04月25日
雨の夕方・6
血の気が多い、と言うよりは功を焦っていたのかも知れない。
黒川より遅れてこの世界に入った分を、早く取り返したかった。
ある時、敵対する組の情報が耳に入る。
どちらの勢力下でもない一般のクラブで、小物のチンピラ共が幅を効かせていると。
細かな悪事を重ね金を稼ぎ、それが資金源となっている。
そうやって力を付けた頃、一気にこちらに攻め入って来るというのだ。
『そんなの、力を付ける前に叩いちまえばいいんだろ?』
縄張り外という事もあり、とりあえず皆が様子を伺っていたところ
一ノ宮は単身、乗り込んで行ってしまう。
もちろん、そうなる事を含めこれが向こう方の作戦で、血の気の多い連中を引き寄せるエサだった。
小物を叩くのは簡単だったが、すぐ後ろに、組の本隊が待ち構えていた。
状況を知り、黒川が駆けつけた時には、すでに劣勢。
一ノ宮もよく暴れたが、一人でどうこう出来る程度ではなかった。
最後に鉄パイプで頭を殴られたのは酷く効いたらしい。その相手を黒川が蹴り飛ばさなければ
そのまま頭をカチ割られていたかも知れない。
黒川は、チンピラ共の悪事の証拠など、その場を収めるための切り札を持っていた。
双方の上にも掛け合い、どうにか、一ノ宮を連れ帰る事が出来た。
一ノ宮が目を開けた時、そこは病院のベッドの上だった。
posted by 白黒ぼたん at 23:00
| TrackBack(0)
| 日記
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/189490314
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック
http://blog.sakura.ne.jp/tb/189490314
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック