2022年05月16日
イツキの話・終
「…俺、別に、悪いこと、しないよ?」
「解っている。…そんな事を言っているんじゃない」
「…酔っ払って、色気振り撒いたりもしない。…した事、ないけど」
事務所から二人の部屋に戻り、リビングで話しの続きをする。
一応、了承は得たものの、未だ黒川は渋い顔をしていた。
帰りがけに買った焼き鳥のパックを温めて、ビールのアテにする。
「…松田さんにも、会わないよ?」
「……いや、どうせヤルなら奴にしておけ。問題が少ない」
「会わないし、ヤらないよ」
床にペタリと座っているイツキは、ソファの黒川を見上げる。
黒川は軽く視線を落とすも、すぐに、どうでも良い話だという風に顔を背け
ビールを煽り、付けっ放しのニュース番組を見る振りをする。
イツキは小さく息をつく。
この不機嫌さはおそらく、自分を心配してくれているのだと、思うことにする。
見知らぬ他の男にヤられたり……最悪、松田なら良いらしいが……何かトラブルを持ち込んだり。
それが、純粋に、身を案じてのことなのか、それとも
所有物に好き勝手されては困るとか、そういった意味合いのものなのか
どちらかなのは解らないのだが。
「……マサヤ、俺、ちゃんと帰って来るよ?」
「…当たり前だ」
この男が自分のことで揺れている様を見るのは、少し、楽しかった。
posted by 白黒ぼたん at 23:59
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