2022年06月14日
水曜日の朝
朝、ホテルの部屋で一人、起きたイツキは身支度を整え
昨日の内に買っていたコンビニのサンドイッチをつまみ
もう片方の手ではスマホを握りしめ、少し、しかめっ面を見せる。
昨夜の黒川はおそらく、どこか外の、賑やかな楽しげな場所にいた。
そういう場所に行くのも仕事の内だろうし、仮に仕事では無いにしても、いちいち詮索する事ではない。
何か連絡を入れようかとスマホの画面を覗き、…天気予報と星占いを確認し
サンドイッチの具材が落ちそうになるのを慌てて防ぐ。
……別に、話すこともない。電話を掛ける理由もない。
スマホをポケットにしまい、もう出掛ける時間だと、慌てて立ち上がった。
ハーバルの本社に向かう列車の中で
『俺も今日は飲み会。明日、帰ります』とだけメッセージを送る。
俺も、と、「も」にしたのはイツキのささやかな対抗心だったのかも知れないが
ささやかすぎて本人もましてや黒川も、気付くことはなかった。
黒川はこの朝。
実は付き合いの延長で、とあるホテルの一室で、女と一緒にいた。
イツキはこの朝、本当に、黒川に電話をしなくて、助かった。
posted by 白黒ぼたん at 09:25
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