2022年07月20日
水曜日の真夜中・4
松田は全体重を掛けるようにイツキに覆いかぶさり、少々乱暴なキスをする。
イツキの髪の毛をくしゃりと掴み、痛いくらいに引く。
機嫌の悪さはアピールなのか本心なのか、松田にも微妙な所。
そのくせイツキはと言えば気にする様子もなく、松田の背中に手を回したりする。
「…俺は、…黒川さんの替わり?」
「……違いますよ?」
「じゃあ、黒川さんのこと、考えるの止めなよ。目の前の男に、失礼だろ?」
「……松田さん」
鼻先が触れるほどの距離で、松田はそう言う。
部屋の明かりは暗くても、男の視線が険しいことは解る。
肩口まで覗く、極彩色の刺青。本来なら
今日、イツキに手を出した小山などより余程危険で、怒らせてはいけない相手。
ふと、イツキは手を延ばし、松田の頬に手をやる。
そのまま上に上げ、耳から頭へ。ワックスで固めた髪が、指の間を通る。
「……松田さんだから…、マサヤのこと、話せるんですよ?
他には誰にも、こんな事、言えないじゃないですか………
頼りにしては………、駄目ですか………?」
「…………いや………」
「……俺、……意外と、松田さんのこと、好きなんです」
聞きようによっては酷く失礼な言い回しなのだが
耳につく湿った甘い声でそう漏らし、儚げに小さく微笑まれると
つい、松田も……気を緩めてしまう。
posted by 白黒ぼたん at 09:38
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