2022年08月01日

木曜日の朝・2









「おはよう、イツキくん。昨日はお疲れ様。よく眠れた?
いやー、一度出社してから帰るんじゃ大変だと思ってね。
車、借りられたからさ。送ってあげるよ、東京まで」


つい数時間前に別れたはずの松田は、そんな事を言う。
イツキは何がどうなっているのか良く解らなかったが…、自分は一度、宿泊先まで往復しているのだ
時間的には、おかしくは無いのだろう。


「………あ、ありがとうございます。……でも、大丈夫ですよ、電車で帰れま……」

「…いやー、すみません、松田さん。良いんですか、そんなご迷惑かけちゃって…」
「ははは。俺も向こうで用事があるもんで、ついでですよ、ついで。気になさらず」



一応、断りを入れるイツキに被せ気味に、ハーバルの社長と松田が畳み掛ける。
そこまで言われて、頑なに拒絶する訳にも行かず………イツキは松田の車で、帰京することになった。








「…………どういうつもりですか?」

「んー? 他意は無いよ。送ってあげるだけだよ」

「…………どこか、………手前で、………下ろしてくださいね………」






さすがに、松田と一緒いいるところを黒川に見られるのは……嫌なのだろう。

イツキは口をへの字に曲げ、ふんと鼻息を立てる。

その明からさまな態度が予想通りで、松田は笑いを噛み殺した。






posted by 白黒ぼたん at 23:56 | TrackBack(0) | 日記
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