2022年08月04日

木曜日の朝・3








「イツキくんはさ、本当に面白いよね。ああ、もちろん褒め言葉。
フツーに仕事、頑張ってるかと思えば、妙な色気垂れ流しておっさん誘惑してるし。
でもって、それ、失敗して、大慌てしてるし。
俺の事も、どうなのかなって思えば…エッチは滅茶苦茶エロいし、気持ちいいし。
見てて、飽きないわ。もう、俺のモノにしたい位」



車を運転しながら、松田は軽く、そんな事を言って笑う。
イツキはどこから否定して、突っ込めば良いのか解らずに困る。

自分の行動が多少ちぐはぐな事には、自覚はあるのだが
それが、男の興味をそそる類のものだとは、思わない



実際それは、イツキを抱いた者にしか解らないのだろう。
ある一線を越えると…それも気付かない内になのだが…突然、快楽の渦に巻き込まれ、息も出来なくなる。
それが酷く、癖になる。中毒と言っても良い、感覚。




「………俺が、………マサヤのだって、……松田さん、知ってるでしょ?」
「イツキくんはさ、黒川さんのこと、好きなの?」
「す……………………、きとか、そんなんじゃないんです」
「じゃあ、どんなんなのさ?」




車は二車線の広い道を行く。
イツキに地理的なことなど解るはずもなかったが…それでも大きな標識の地名に見覚えはあった。

東京方面。

とは、逆方向へ進む。






「……松田さん、……どこ、向かってます?」
「………んー?、良いトコ」
「俺、マサヤに連絡しますよ?」
「イツキくん、昨日は、ナイショにしてって言ってたじゃん」






少し、松田に気を許し過ぎたかと……イツキは反省し、警戒し……膝の上の握り拳にきゅっと力を込めるのだけど
そんな事はあまりに良くある事なので…、まあ、何の足しにもならないのだった。







posted by 白黒ぼたん at 00:10 | TrackBack(0) | 日記
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