2022年08月05日
木曜日の朝・4
「……ここからもうちょっと山間に行くと…古い温泉街があって
いわゆる昔の、売春宿みたいなトコがあるんだよね。
そこに、攫って来たイツキくん、閉じ込めてさ、仕事させたら面白いなって…」
車を走らせながら、笑いながら、松田はそんな事を言う。
もちろん、本気だとは思わないが……、かと言って、そうされないと言う確証も無い。
膝の上できゅっと握った手に、一層、力が篭る。
どこか赤信号で車が停車した隙に、ドアを開けて逃げ出そうかとも思う。
「……松田さんは……、そんな人?」
「じゃあ、どんな人だと思った?」
「……………結構、………良い人……」
微妙な答えに、松田は声を上げて笑う。
車はウィンカーを上げ、左折し、少し、細かい道を進む。
やがて、山奥では無いが……、大きな風呂屋の看板が見えて来る。
その場所はイツキも知っている。「あ」と小さく声を上げ、きょろきょろと周りを見渡す。
「売春宿も捨てがたいけど、今日はココ。少し、のんびりしたって良いだろ?」
そう言って駐車場に入って行った。
そこは、イツキと松田が最初の出会った場所。
「スーパー銭湯、湯〜らんど極楽」だった。
posted by 白黒ぼたん at 23:11
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