2022年09月06日

真っ当な悩み事








実のところイツキは悩んでいた。
悩んでいると自覚が出来ているもの、出来ていないもの、イロイロあるのだけど。
だいたい、黒川との関係からしてオカシイのだ。
おかしい上に不安定な材料を積み上げて行って、落ち着くはずもない。


中学生の頃から身体を売って来た自分に、普通の生活が送れるとは
思ってもいなかったのに、この現状。
ハーバルの仕事は楽しいが、それをどこまで頑張って良いのか…頑張れるのか。
それを黒川はどう思っているのか………。



「……マサヤは、最近、どう?………仕事って、何してるの?」
「……大北通りの再開発絡みで…色々な。古いビルを処分するんで揉めていたが、まあ、落ち着いたかな…」
「そう言うと普通に、不動産関係の人みたいだよね。ふふ」


実際には、再開発絡みの談合やら賄賂やらで、裏から手を回し大金を動かしているのだとか
古いビルを処分するために利権者を脅し、こちらの有利になるようにあらゆる手段を使っているのだが
それは、あえて言わない。


それらの幕間で、………金や酒や女や、男や、……さまざまな欲望が入り乱れていて
かつてはイツキが、それらに関わり、仕事を担っていた。

今はそれから、遠ざかってはいるのだけど
疎外感というか何というか、……黒川の仕事に関わらないことに、少し、寂しさも感じている。




感じる、自分も、変だと思う。






「……マサヤ。……俺、次、日本酒行っちゃう。明日、お休みだし……飲んじゃう」
「…………別にいいが……ベッドで吐くなよ?」






不安定なイツキが酒に溺れるのは


意外と、黒川は、好きだった。








posted by 白黒ぼたん at 23:02 | TrackBack(0) | 日記
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