2022年09月11日
夕暮れ時
事務所の扉をノックして入って来るのは
少し前ならイツキだったが…今は、レノンの事が多かった。
「仕事」終わり。相変わらずムスッとした表情。
それでも最近は、客を怒らせるようなことは少なくなったようだ。
真面目にデスクワークに励んでいた黒川は顔を上げ、つまらなそうに、鼻息をたてる。
「……お前か。何の用だ」
「……コレ、今日のおっさんから預かった。あんたにって……」
レノンは黒川に、何か書類のようなものを渡す。
黒川は受け取り、「……ご苦労」と小さく声を掛ける。
未成年に客を取らせて、その一言で済ませるのかよと、レノンは黒川を一瞥する。
それでも一言が出るだけ、大分マシになったのだけど。
「ああ、レノンくん。お疲れ様です。1人で来たんですか?……車はどうしましたか?」
「…下まで、佐野が送ってくれた。……後はあんたに送ってもらう」
「………おや、まあ…」
馴れ馴れしい口の利き方に、今度は黒川がレノンを睨む。
当の一ノ宮はやれやれと言った風に、肩で息をつく。
……どうにも、変に懐かれてしまったようだ。
まあそれで大人しく、こちらの言う通りの仕事をしてくれるのなら、それも良いのか。
「…あまり甘やかすなよ」
上着を羽織り、車の鍵を手にする一ノ宮に、黒川は軽く釘を刺す。
「群馬までは行きませんから。大丈夫です」
そう言って、一ノ宮は笑った。
posted by 白黒ぼたん at 22:36
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