2022年09月12日

気の毒は今更









レノンは一ノ宮に恋愛感情を抱いている訳では無かったが
この特殊な世界の中で、自分だけの味方、自分を大事に扱ってくれる人間を
確保して置きたいというのは、もっともな気持ちだろう。

それは一ノ宮も解っていたし、大事な商売道具なのだし

……そこら辺が、レノンの「大事」と違う感覚なのだけど……

まあ出来る範囲でならサポートしてやっても良いと、思っていた。




「…シートベルト、ちゃんとして下さいね」
「……ハラ…減った。…ねえ、なんか食べに行こうよ…」
「これ以上、帰りが遅くなっては……お祖父様が心配されますよ」



未成年のレノンは当然、実家暮らし。
そうは言っても最初から両親はおらず、小さな工場を営む祖父と暮らしている。
善良な労働者でたまたま莫大な負債を負ってしまった祖父は、まさか、その代償に
可愛い孫が身体を売っている事など、知りはしない。



「……どうせ夜中まで帰ってこないよ。俺の心配なんて、誰もしないよ」



小さくつぶやくレノンの声を、一ノ宮は聞こえないフリをする。
気の毒は今更。
いちいち取り合っていても仕方が無い。




「……あいつはどうしてたの? 家から通ってたの?」

「あいつ? ああ、イツキくんですか、そうですね…初めのころは…。
でもやはりイロイロ…不都合も出て来ますので、まあ……それ以上に
社長がご執心だったので……親元から離しましたけどね……」




あまりレノンに肩入れせず、適度な距離を取っている一ノ宮だったが
レノンの質問には何故か答えてしまう。


一ノ宮自身、誰かに話す事で
黒川とイツキのいびつな関係を、整理したかったのかも知れない。






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posted by 白黒ぼたん at 23:33 | TrackBack(0) | 日記
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