2022年09月16日
お土産
「……いいよな。俺も、自分の部屋、欲しい」
「…ははは」
レノンの言葉に一ノ宮は軽く笑う。
会話を交わしているようで、その実、一ノ宮の反応はありきたりなものばかり。
レノンは一ノ宮と、事務所で二人で話したような、もっと、深い話しがしてみたいのに
そこは一ノ宮も、あまり話し過ぎないようにと、警戒しているようだった。
「…イツキと黒川って、今も二人で住んでるの?…何?…結婚したの?」
「しませんよ。………レノンくん、イツキくんと社長を呼び捨てにするのはいけませんね。
社長はあなたの、雇用主ですよ」
「……イツキはあいつの事、名前で呼んでるよね……、変なの」
「………まあ、変は……変ですけどね」
小一時間ほど車を走らせ、ようやくレノンの自宅近辺に着く。
自宅前に車を停めるのは避けた方が良いと、近くのコンビニエンスストアに駐車する。
買い物があると、一ノ宮も車を降り店内に入る。
そして弁当やら何やら適当に見繕うと、自分で支払いをし、それをレノンに持たせてやった。
「では、レノンくん。お疲れ様です」
「……………うん」
レノンは両手に荷物を持ち、何か、話し掛けたそうな顔をしていたが
一ノ宮は静かに微笑み、車に乗って、行ってしまった。
逆に情を掛けられる方が、虚しくなるものだなと
レノンが知るにはまだ幼過ぎた。
posted by 白黒ぼたん at 20:16
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