2022年09月21日
思い出した話
『……ああ、そう言えばさ……』
その日、一ノ宮は事務所で一人、雑務を片付けていた。
どこぞの店の従業員用の宿泊施設が足りなかったと
管理している不動産の書類をガサガサとやり、2、3件、電話などをして
ふと、先日、車の中でレノンが話していた事を思い出した。
『……さっき、あいつ、見かけた。……イツキ。
向こうの通りに不動産屋あるじゃん。あそこの前で。
なんか、マンションの間取りとか?、ガン見してたぜ?
引越しでもするの? さすがにヤクザの女は余裕があるよね』
いまだにレノンは、自分とイツキを比べたがる。
状況や立場の違いは良い加減、理解している筈だが
嫉妬ややっかみや羨望や、諸々複雑な思いもあるのだろう。
その時も、イツキが黒川にマンションを充てがわれた話しの流れで、そんな事を言っていた。
イツキが真剣に部屋探しをしているなどと一ノ宮は思いもしなかったので
レノンが多少話を盛っているのかと、気にも留めていなかったのだが…
「……いや、まあ。……確かイツキくんは納戸で寝ていると言ってましたしね……
大きな部屋が…欲しいのですかね……」
仕事の手を止め、一ノ宮はそう呟き
少し、この件を、心の隅に残して置いた。
posted by 白黒ぼたん at 19:40
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