2022年09月23日

ミカの提案









「…もう、大変。本当は乗り換えなしのとこにしたかったけど、家賃、高いし
徒歩15分で築30年で、どうにか頑張れるかなって感じでしょ。
ウチ、補助は結構出る方だけど…それでもねぇ。
都内の独り暮らしはキツいわよねぇ……」



仕事終わり。イツキとミカは店内の片付けをしながら軽く雑談。



「……イツキくん、おウチ、探すの?」
「あ、いえ、そういう訳では無いんですけど…。やぱり、大変なのかなって…」
「まあねぇ。お金の面ではねえ…。でも、イツキくんは彼氏さんがいるんでしょ?」
「……まあ……、そうですね……」



自分から話を振って来たのに、歯切れの悪い返事。
…イツキの「家」や「彼氏」や「現状」は、気になっていても深く探ることは憚られる。
それでもミカはイツキの顔を覗き込み、話すことあるなら聞くよ? と水を向ける。

確かに。

先日の出張以来、少しイツキの様子はおかしい。




「…なんだか、一緒に居過ぎるのも駄目なのかなぁって。
…余計なこと、気にし過ぎちゃうなって…
ああ、だからって引っ越すとかまで考えてる訳じゃないですけどね」

「距離が近過ぎるのもねぇ。いっそ…おウチ出ちゃう?
でもって、あたしと一緒に住んじゃう??」



ミカの提案にイツキは「いいですね」と言って、笑って


少し、憂鬱な気分が晴れるのだった。






posted by 白黒ぼたん at 23:51 | TrackBack(0) | 日記
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