2022年10月12日
実際のトコロ
イツキはまだ少しも、落ち着いていなかった。
自分が留守の間…まあおそらくそれ以外にも日常的に…黒川は女を抱いているのだろうし
仕事上と言われれば仕方がない。それを隠すつもりもないのだろう。
自分が不機嫌になればなったで、急に優しく接してくれたりもする。
酔っ払いのうわ言などではなく、本当に、黒川が
そして自分が
互いを失っては苦しいほどには好きなのだと自覚している。
「でもなぁ…、なんだか。……そういう事で頭を悩ましていること自体がイヤ。
さんざん酷いこともあって、これからだってきっとあって、そんなのはもう百も承知だよ?
でも、…ちょっと帰りが遅いだとか、…嗅ぎ慣れない香水の匂いがするとか…そんなんでイチイチ
上がったり下がったりするのが嫌。
……一緒に居過ぎるのも問題だと思うんだよね。
知らなくてもいいことまで、知っちゃうじゃん。それが駄目だと思う…」
黒川が仕事に出掛けたあと、イツキは1人リビングで
少々、大きめの独り言をつぶやき、自分で自分の気持ちを確認する。
手元のスマートホンを、ざっとスクロールする。
……住宅情報のサイトには、魅力的な物件が並んでいる。
「………離れて暮らす、とか、いいよね。……いいけど……
……家賃、どこも、高いなぁ……。一人で生活するって……お金、掛かるよね……
俺、結局、生活の全てをマサヤの世話になってるんだもんなぁ……
ハーバルの給料だけじゃ無理だし…、マサヤに貰うのも……なんだよね…」
一応、成人男性となったイツキに芽生えた自我は
あればあったで、厄介なものだった。
posted by 白黒ぼたん at 22:56
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