2022年10月19日
男の話
誰もが何か、微かな違和感を感じながらも
あえてそれを揉め事にする勇気も持たず
何となく、普通に、やり過ごし……数日が過ぎたある日。
事務所に、来客があった。
「………よう。黒川。…お疲れさん……」
「…ああ、あんたか……」
男は、昔ながらの知人だった。
ここいらより西の辺りを仕切る同業者。
敵対する相手では無い、もっとも、特別親しい友人でもないが。
顔を合わせれば情報交換がてら、一杯付き合うぐらいの仲だった。
事務所には黒川が一人だった。
急ぎの仕事もなく、まもなく切り上げて帰るかといった時間だった。
「……どうした? こっちに顔を出すのも珍しいな」
「ああ、まあ、もののついでに。……ちょっと確認したい事があってね」
「……確認?」
黒川は奥の棚から洋酒のボトルとグラスを取り、男にソファを勧める。
男は腰を下ろし、黒川も向かいに座り、グラスに酒をストレートで注ぐ。
とりあえず久しぶりと軽くグラスを掲げた。
「……『イツキ』だっけ?……あんたんトコの、子。……あの子さぁ…」
男は酒を一口飲み、少し言葉を選びながら話を始める。
posted by 白黒ぼたん at 20:20
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