2022年11月02日

男の話・8








浜野は、解りやすい少年の挑発に乗るほど馬鹿な男では無かったが

そう思うのと、身体は、また別の話のようだった。

少年のワイシャツの胸元を掴み、引き寄せ、ソファへと引き上げると上に跨り
『使いモンになるかどうか試してやるよっ』などと怒鳴り、
鼻息も荒く、少年のズボンに手を掛け脱がそうとする。


『………本番は、……別料金なんですけど……』
『ハァ?…お、お前……、自分の立場が解ってねぇんじゃないのか……』
『解ってますよ?』


いきり立つ浜野を宥めるように、少年は手を伸ばし、浜野の頬にそっと触れる。
……見つめて、一度目を伏せ、また目を開け、はにかんでみせるなど……、出来すぎた仕草だったが
すでに浜野にはそれを揶揄する余裕もなかった。


『………今から、……お兄さんに抱かれちゃうんでしょ?
……………あんまり、痛いのは、………や、ですよ?』











実のところ、事の次第は、浜野からではなく、
部屋にいたもう一人の男から聞いたものだった。


『……結局、兄貴が楽しんだだけっすよ。……俺に回してくれれば良いのに……
いやでも、横で見ててもエロいガキでしたよ。こう、匂い立つっていうか…
ありゃ、プロですよ。絶対。どっかの、ヤバいですもん、マジ。

あー。名前?………あれ、き、聞かなかったのかな……
終わったら、すす〜って居なくなっちゃって……、あれ、夢か、てな位で』


男と入れ違いで事務所を出て行ったという少年。
ソファでは浜野が後始末をしながら、へへへと、照れ笑いを浮かべているだけだった。






posted by 白黒ぼたん at 23:27 | TrackBack(0) | 日記
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