2022年11月07日

男の話・最終話








黒川は事務所で一人、少し酔いの回った頭で考え事をしていた。
もし仮に、男の話に出て来た少年がイツキなのだとしたら、……その理由は何なのだろう。


昔の仕事を思い出し、遊んでみたくなったのか…
ちょっとした小遣い稼ぎのつもりなのか…。
遊びもセックスも、それはまあ、別に構わない。
今更、操を立てろなどと言うつもりはない。それは、良いのだが


理由が解らないのが、どうにも、嫌なのだ。


「……遊びたいのか?…そんなに今の暮らしが不満か?つまらないのか?
……金か?……金を持ってどうする? ホストにでも貢いでいるのか?」


グラスに酒を注ぎ足し、独言てみても、答えが出るはずもない。
本人に問いただしてみるしか無いのだろうが、冷静に、それが出来る気配もない。



黒川にとって、イツキは大事で愛おしいと、一応認知はしているのだが
それが一人の人間として、ちゃんと自立した男として、接しているかと言えば…疑問で
どうしたってまだ自分の手の内、ペットのその先、ぐらいの感覚なのだろう。



「……クソ。面倒臭い……。
なんであいつの事で、俺がこんなに…考え込んでいるんだ」



それでもこの話にきちんと答えを出さなければいけないと


思うだけ、黒川も、大分マシになったのだ。







posted by 白黒ぼたん at 23:31 | TrackBack(0) | 日記
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