2022年11月12日
小さな声
黒川はボトルの酒をグラスに注ぐ。
…飲み過ぎだろうと…、足を軽く小突いたのは、イツキの方だった。
「……なんで俺がココを出たいのか、とか……気にならないの?」
「知るかよ。……ああ、外に居た方が自由に遊べるもんなぁ…」
いつもの軽口に、また、イツキは黒川を蹴飛ばす。
黒川は鼻で笑いグラスを傾ける。
いくらアルコールを喉に流しても、渇きは癒えない。
ヒリヒリと痛むのは、渇きのせいではないのか。
イツキが、自分の元から離れたい理由など、思い当たる事が多すぎる。
「俺から、離れたいのか」
黒川の声は独り言か、ただ自分を納得させるためだったのか、小さな小さな声だったが
イツキにはちゃんと聞こえていた。
酒に酔っているのは言え、黒川のこんな声は聞いたことが無かった。
「………マサヤは、……解って無いよね」
ため息まじりにイツキはそう呟きながら、ソファから身体をズラし床にペタリと座る。
自分のグラスに手を伸ばし、酒を一口飲むと、今度は黒川の傍に身体を寄せる。
頭を傾げると丁度、黒川の手に当たる。
黒川のてがイツキの髪の毛をくしゃりとするのは、条件反射のようなものだ。
「…マサヤ。俺がどれだけ、マサヤを好きか、知らないでしょ?」
posted by 白黒ぼたん at 00:02
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