2022年11月16日
取り敢えず
「…気持ち悪くは…ないだろう、別に」
「気持ち悪いよ。女じゃあるまいし。マサヤだって、俺にアレコレ詮索されたく無いでしょ?
昨日は誰とシて来たの?とか、いちいち、聞かれたい?」
「………いや」
イツキの話を聞き、その言い分はもっともだと黒川も同意する。
…だからと言って、引っ越しをすれば解決する問題だとも思えないが
「…………ハァ」
イツキは肩を揺らし、盛大に溜め息をつく。
確かに自分でも、この方法が最善だとは思っていないのだ。
それでも、どうして良いのか解らず
解らず、と、悩む自分を嫌悪し、さらに追い詰められてしまったようだ。
「………馬鹿なやつ…」
つい、黒川が漏らした言葉にイツキは反応し、むっとした顔をそちらに向ける。
「そうだね。馬鹿だよ。ハイハイ」
「解ったから、もう、そう拗ねるな。……イツキ」
黒川は手を伸ばし、イツキの腕を掴み
引き上げ、ソファの自分の隣に座らせる。
イツキはまだ俯き、不貞腐れた様子だったが
それごと抱き締め腕の中にすっぽりと納める。
「…取り敢えず、俺の傍にいろ。もうちょっと、良い手を考えてやるから。
………気持ち悪い程、惚れていても……まあ、良いだろう?」
posted by 白黒ぼたん at 23:31
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