2022年11月29日

有耶無耶








イツキは馬鹿で誤作動ばかり。

それは解っているとしても、駄目なものは駄目で。

先日は話しを聞いている内に有耶無耶になってしまったが

きちんと叱らないといけないと、黒川は思っていた。





「…おつかれさまぁ。遅くなってごめんなさい。
やだ、マサヤ、もう飲んでる?しかも日本酒?いいなぁ!」



待ち合わせの寿司屋に遅れてやって来たイツキはカウンターの黒川の隣に座り
ビールを注文し、すぐに黒川の日本酒に気付き、羨ましそうに眺める。
出された熱々のおしぼりを、あつい、あつい、と手の中で弾ませ
壁に貼られた「今日のオススメ」をぐるりと見渡し、危うく椅子から落ちそうになる。


「…落ち着けよ、イツキ。

ああ、大将、盛合せと厚焼き玉子。それとお猪口をもう一つ」

「マサヤ、すごい。何で俺が欲しいもの、解ったの?」




目を丸くするイツキを黒川は鼻で笑い



説教はもう少し後でも良いかと思った。






posted by 白黒ぼたん at 22:51 | TrackBack(0) | 日記
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