2022年12月28日
傷心
佐野は
事務所で暫く後輩に絡んだ後、残った仕事をやり掛けたのだが
酔いの回った頭では何をすることも出来ずに、潔く諦める。
後輩の車に送らせて、ひとり、自分の住処へと帰って行った。
「…………くそ」
どうにも悪い酔い方をしたようだ。足元に来ている。
頭が痛むが、奥の方は冴え、胃が痛いのか空腹なのか区別が付かない。
ふらふらと壁にぶつかりながら台所に向かい、
取り敢えず冷蔵庫を開け、ぼんやりと中を眺める。
『……佐野っち、俺、ビール。……ラーメンは味噌味にして』
「…………はいはい」
頭の声に返事をして、佐野は缶ビールを取った。
床には脱ぎ散らかした服や、アダルトな雑誌やらが散乱している。
佐野はいつもの様にそれらを足で避け、座る場所を作る。
以前、住んでいた木造アパートよりは、広くて綺麗な部屋だったが
ここにイツキが来たことはない。もう、とうにそんな関係では無いのだけど
やはり、佐野にとって、イツキは特別で
治りかけの傷が疼くように、時折、思い出してしまうのだ。
posted by 白黒ぼたん at 23:51
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