2022年12月31日
寝室
とある日の真夜中。
仕事を終え部屋に戻った黒川は、キッチンで水を一杯飲む。
シンク台の上にはラップが掛かった小皿。
…小さなおにぎりと、卵焼きが入っていた。
腹は減っていなかったが、卵焼きだけ摘む。
以前より甘過ぎず、焦げ目も無かったが、塩気も無い。
黒川は鼻で笑い、指先をぺろりと舐め、もう一度水を飲んだ。
寝室に入る。
少し前に、お互いのプライベートを重視しようだ何だと揉めて
イツキが寝床に使っているクローゼットを改造した。
もっとも部屋の広さは変えられないので
棚を外し、空調を効かせ照明を付け、少しはマシな空間にしてやった。
その代わりに寝室は物が溢れてしまった。
うす暗い部屋の中、黒川は荷物に躓かないようにして、ベッドへと辿り着く。
毛布を捲ると、そこには、イツキが丸まっていた。
驚くこともなく黒川は、イツキの体を少し奥に押しやって、自分もその隣に潜る。
「………あ、マサヤ。……おかえり」
「お前、俺と生活を分けたいだ何だ言っていて…、…結局、こっちで寝てるじゃないか…」
「…なんか、向こう、広くなっちゃって…落ち着かないんだもん。狭い方がいい……」
半分寝ぼけた様子でイツキはそう言い、黒川の背中に手を回す。
実のところここ最近は、イツキは、こちらのベッドで寝ている事が多い。
黒川が帰宅すれば目を覚ますし、一言ふたこと言葉を交わして、そのまま身体を重ねることも多々。
結局それが一番落ち着くのだと、一回りして気付いた様子。
「……馬鹿か…」
黒川は悪態と溜息を同時に着くのだが、別に怒っている訳ではない。
イツキの身体をさらに抱き寄せ
一緒に、眠った。
posted by 白黒ぼたん at 00:25
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