2023年01月25日

相談事










黒川の前では、頑張る、と啖呵を切ったイツキだったが
そんな実力が無いことは自分が一番解っていた。
多少、昼の仕事を覚え、どうにか普通の人の振りをして生きてはいても
自分が異質であることは、重々、理解している。



『俺に出来ると思います?……おれ、…こんなん…なのに……』



ベッドの上で股を広げて男の愛撫を受けながら、イツキはそんな相談事をしていた。


『でも、したいんでしょ? ミカちゃんのために』
『…………ん』


返事か喘ぎかわからない、くぐもった鼻息を漏らして、イツキは腰を揺する。
前はいいから、今度は後ろ、と男の手と舌を誘導しながら、それでも一応、真面目な話し。


『………おれ、ハーバル、好きなんです。……おれ、ここにいて良いのかなって……思わせて…くれて。
だから、できるなら、役に立ちたい………

松田さん、助けてくれる?』

『俺はいつだって、イツキちゃんのこと、助けてるだろ?』

『…………ん』




イツキはうつ伏せになりかけながら、一度、身体を戻し
男の。松田の正面に向き直り、顔を寄せ、唇を合わせる。

舌をちろちろと交わせながら首の後ろに手を回し、頼れるのはあなただけだと頭を垂れる。



確かに、実質的に、ハーバルの業務を助けられるのは、黒川より松田だった。
そして、相談事を茶化さず、親身に受け止めるくれるのも、松田だ。
使い分けと言えば言葉は悪いが、適材適所。イツキは、それを間違えない。
しかも、意識し計画的に、それをしている訳ではない。

それが、タチが悪いと言われる所以。




『………人手が足りないなら手配してやるよ。パートでもなんでも…』

『…………松田さん、おれ………、もう、お尻、………変なんですけど……』






松田の真面目な話を遮って、イツキはもじもじと腰を揺すり

ベッドに身体を横たえると、早く次をと、男を誘った。







posted by 白黒ぼたん at 22:00 | TrackBack(0) | 日記
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