2023年02月02日

カフェみうら・2








「…もう、あの人、何しにここに来るんでしょうね。仕事の邪魔ですよね」


三浦が自分の店に戻り、イツキとパートの横山は顔を見合わせため息をつく。
実際、三浦のお喋りに仕事の手が止まり迷惑することもあるのだが、どうにも憎めないのだ。


「まあね。…まあ、悪い人じゃ無いみたいだけどね」




この場所で店舗を構えてすぐの事。

その頃のミカはまだ自分の身体の変化に気づかず、店の外で掃除などをしていたのだが
貧血を起こし、座り込み、動けなくなってしまった。
隣のカフェでぼんやりと過ごしていた三浦がいち早くそれに気付き
手を貸し、さらに自分の車で病院にまで連れて行ってくれた。

それ以来、ぐっと距離を縮めたお隣さんになってしまったのだが

まあ、初めての街、新しい店舗でそんな知り合いが出来るというのは
ありがたい話しなのかも知れない。



「でも、この間なんてウチのお客さま……若い女性の方なんですけど
三浦さんが入口に居座ってるものだから、なかなか中に入って来れなかったんですよ。
やっぱりウチみたいなショップに男の人って、ちょっとねぇ……」

「……俺も男ですよ?…横山さん」

「店長代理は違いますよぅ。むしろ若い女の子が寄ってくる感じじゃないですか?」




そう言って横山は笑った。





posted by 白黒ぼたん at 22:00 | TrackBack(0) | 日記
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