2023年02月22日
功罪
『駄目です』
と言った時のことを、一ノ宮はまだ覚えていた。
数年前。
ただの暇潰し、適当な玩具だったイツキが
金を工面して欲しいと黒川に懇願した時。
玩具、にしてはのめり込み過ぎているとは思っていたが
ここで数千万単位の金を出し、危ない筋との交渉に自ら乗り込むなど
到底、考えられることでは無かった。
案の定、それ以降、黒川とイツキの関係は複雑に縺れ絡まり混迷し
容易に解くことも出来なくなってしまう。
そんなものは大方、闇に沈み、静かに腐っていくと相場が決まっているのだが
何故だかイツキは今、穏やかにそこに居て、目前の塩豆大福を頬張っている。
「……俺、これ、好き」
「……社長がたまに…買って来ますよ。……ふふ」
功罪を数えればキリがないので、それは止めておく。
黒川が若干、丸くなり過ぎた気もするするが
それはまあ歳のせいにしておこうと一ノ宮は思った。
posted by 白黒ぼたん at 23:00
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