2023年03月25日

近状報告









「…またイベントがあるかもって言ってた…、正直、これ以上、仕事が増えたら困る。
俺、最近、頑張ってると思わない?

なんかもう、ハーバルの社長、事務仕事は全部こっちに移したがってるみたいで…
数字も計算も苦手なのに。パソコンは少し覚えたけど。

ミカちゃん、早く帰って来て欲しい。……予定日はもうすぐ。
でも、すぐに復帰は無理だもんね。……人、増やして欲しいかも……」



ソファで互いの身体を絡めるように座り、近状報告をし、酒を飲み、合間にキスをする。
黒川はイツキの頭に手をやり、髪を漉きながら、話を半分聞き流す。

イツキの髪は、爽やかながらもどこか甘い、オリエンタルな匂いがする。
もっとも、風呂場のシャンプーがハーバルの製品なのだ、黒川自身も同じ匂いがするに違いない。



「松田さんが手伝うって言うけど……ちょっとねぇ。ああ、俺、一ノ宮さんに来て欲しいな。駄目?」
「駄目に決まっているだろう」
「………けち」


イツキが小さく呟いたところで、お喋りに飽きた黒川が、イツキの身体をソファに倒す。
シャツのボタンを外し、手を差し入れ、見えた素肌に唇を這わせる。

相変わらず、馴染みの良い滑らかな肌。
ピンと張る乳首を摘むと、「…ん」と小さな声が漏れる。
少し肉がついたのか柔らかな感触は、それはそれで良くて
爪を立てて引き裂いてみたくなる衝動を、今はまだ、ぐっと堪える。


「…それとね、隣の三浦さんが……変、かも。お店、全然、開けてない感じ…まあお客さんも来ないけど。
だからってウチに来すぎじゃない? いい暇潰し…なのかなぁ……

あと、気になることがあるんだけど…………マサヤ?」

「何だよ」


すでに黒川の手はイツキの腰に伸び
イツキのズボンのホックを解こうと、指先を引っ掛けてみたりしている。
いつの間にか黒川の方が、ことを急いでいるようだ。

イツキは一旦、その手を止め、もう一度ゆっくりとしたキスをせがみ、身体を擦り寄せる。






「する、なら……ベッドに行こうよ」



そう言って、ニコリと笑った。









posted by 白黒ぼたん at 23:37 | TrackBack(0) | 日記
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