2023年04月09日
うるさい男
「イツキてんちょ。今日、車で来てたでしょ?」
昼過ぎ。早々に顔を出した三浦はイツキにそう尋ねる。
確かに今朝は黒川の車で来たのだが、わざわざそう言われるのは良い気がしない。
まるで見張られているようだ。
「ゴミ出しに行くとき見掛けてさ。裏の駐車場。良い車だったよね、黒塗りベンツ?」
「……今日は送って貰ったんです」
「誰?あれ?家の人?…父親って感じでも無かったよねぇ」
イツキはちらりと三浦を見て、少し不機嫌な風を纏って、手元の作業に戻る。
もうこれ以上は話をしたくないと、普通なら感じる所なのだろうが
あいにく三浦は感じない。
「カレシだったりして」
三浦は冗談めかし、ギャハハと笑う。
イツキは一瞬、動きを止めムっとする。
「何、言ってるんですか。違いますよ」
「そ? じゃあ、誰?」
「……知り合いです」
「えー?何のー?」
三浦の言葉は止まらない。
イツキてんちょって、ちょっと謎だよね。ホラ、この前の人…松田さん?
あの人ともさ、なんか、雰囲気あったじゃん?…あれさぁ…」
「……いい加減にして下さい!」
ついに声を荒げたのは
イツキ、ではなく、奥で仕事をしていたパートの横山だった。
以前から仕事の邪魔をされるのを良くは思っていなかったのだ。
「来たかと思えば下らない話ばっかり!もう!
三浦さん、自分のお店は良いんですか?
ちゃんと仕事した方がいいですよ! ちょっと迷惑です!」
posted by 白黒ぼたん at 00:09
| TrackBack(0)
| 日記
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/190278148
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック
http://blog.sakura.ne.jp/tb/190278148
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック