2023年04月15日

新しい客









「……わたし、ちょっと強く言い過ぎちゃったですかねぇ……」



ハーバルに入り浸る三浦に、迷惑だと、パートの横山が言って以来
今日で3日ほど三浦は顔を出して来なかった。
おかげさまで店内は静かで仕事は捗る。
新規で来店した上品なマダムとも落ち着いて話をする事が出来た。

それでも、慣れというのは怖いもので
夕方には、三浦がポットに入れて持ってくるコーヒーが懐かしくなる。
横山は、マイボトルのお茶を飲みながら窓の外に目をやり
自分が言った言葉のせいで三浦が来なくなったのだと、少し落ち込んだ。


「……そんな事ないでしょ。三浦さん、かなり失礼だったでしょ。
横山さんがああ言ってくれて、俺、助かりましたもん」
「……んー。ですよねぇ。でも、ちょっと気になりますよねぇ……」


少々、図々しく、空気を読まない感のある男だったが…基本的には悪い男ではないのだろうと
お互いそんな事を思ったのか、イツキと横山は顔を見合わせて笑った。






そして夕方。
ハーバルの閉店時間の間際に
窓の外に黒い人影が立ち、少し中を伺った後、
店内に入って来た、

一瞬それが三浦かと思った、イツキと横山だったが
すぐに人違いだと気付く。


黒い背広を来た狡猾そうな、キツネ顔の男と、後ろからもう一人、派手な上着を来た大柄な男。
見るからに怪しげな風体の男達はハーバルの店内をぐるりと見渡して


「ここに、三浦って人、来てるでしょ?」


と言った。





posted by 白黒ぼたん at 10:18 | TrackBack(0) | 日記
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