2023年04月18日
やな感じ
狡猾そうなキツネ目の男と、派手な上着の大柄な男。
それはイツキでなくとも、その筋の怖い連中なのだと解る。
パートの横山は一瞬身構え、心配そうにイツキの顔を伺う。
イツキは突然の来客に驚いた様子だったが、横山が思うほど、動揺してはいない。
「ここにさ、三浦って人、来てるでしょ?」
「いえ。来ていませんが…」
「そう?ここに入り浸ってるって聞いたけど」
「たまに見えることもありますが、…ここ最近は……」
キツネ目の男はイツキと話しながらハーバルの店内をうろつき
レジカウンターの奥などを覗き見るようにしている。
大柄な男は不必要に店内の物を触り、下らない商品だと馬鹿にするように鼻を鳴らす。
「ふぅん。まあいいや。……また来る…よ…」
どうやら本当にここにはいないと解ったのか、…それとも最初からただの様子見だったのか…
案外あっさりと引き、男達は店から出ようとする。
その前に、キツネ目の男はもう一度イツキに目をやり、イツキの上から下までを眺め見る。
勿論イツキはまだ、1ミリの色気も垂れ流していないし思わせ振りな視線も送っていない。
男は、数秒そうやって眺めた後、何が気になったのかが解らないままハーバルを出て行った。
「あ、あれ、ヤクザさんですよねぇ。やだ、三浦さん、何やってるんでしょうねぇ」
「そうだね。……何だろうね……」
「やだ…。やな感じ…」
男たちがいなくなった後イツキと横山は顔を見合わせ、そう呟いた。
posted by 白黒ぼたん at 12:38
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