2023年04月22日

甘い喘ぎ







あの男たちが何の用で三浦を探しているのかは知らないが
おそらく、あまり良く無い用件なのではないかと思う。
そして、そういった案件に巻き込まれやすいイツキは
この先、どう対応していったら良いかと、迷う。


「なんだ、小難しい顔だな。お前に悩み事なんてあるのかよ?」


目の前の黒川はそう言って馬鹿にし、酒を飲む。


「また、新しい男の話か?」
「そうだよ」


イツキはそう言って答え、自分も酒を飲む。
明日は店は休みなのだ。そう思うとついつい、杯が進む。


「………なんだよ、もう何か、引き込んだのか」
「まあね。まだよく解らないんだけど、面倒な事になるかも。
俺、なんでそんなのばっかり、出会っちゃうかなぁ……」


イツキは虚な目で遠くを見つめ、ため息をつく。


黒川が事の真相をすっかり聞き出すまでには、まだまだ、酒が足りないようだった。






無意識に色気を垂れ流し、そういった趣向の輩を引き寄せる。
最近、纏っている、爽やかな石鹸の匂いさえ、いやらしい景色を想像させる。
トラブルを招くのは自業自得だ。痛い目に遭うのすら、好きなのではないか。

イツキは、そうなのだと、育てた黒川自身が一番良く解っているが



「………なんか、困ったことになったら……マサヤ、助けに来てね」



甘い喘ぎを溢しながらそう懇願されては

返事は、「ああ」しか、無かった。










posted by 白黒ぼたん at 15:10 | TrackBack(0) | 日記
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