2023年07月29日
とばっちりイツキ・4
エレベーターも無い、古びたマンション。
階段を上がり、2階の一番奥の部屋へと向かう。
イツキは勿論、黒川に連絡をしていたが
こんな時に限り、返信は無い。
あったとしても、連れ込まれた正確な場所も解らないし
事が起きる前に助けに来られるほど、足が早くも無いだろう。
連絡は一応
『自分が出来ることはちゃんとしたんだよ』という
イツキなりの、保険だった。
「…二条さんは、俺のこと、どこまで調べたんですか?」
「あんまり詳しくは解らなかったんだけどね。新宿のヤクザ絡みで、売春してるんでしょ?」
「俺、バックに結構、怖い人ついてますよ?」
「はは。怖い人には内緒にしといてよ。それが取引ってやつだよ」
二条の持っている情報はその程度だった。
…まあ、それだけでもハーバル的にはよろしくないのだが
いっその事、黒川の情夫だと知られた方が、対応が出来るのにと思う。
錆びた鉄の扉を叩くと中から鍵が開き、派手な上着を着た小太りの男が出迎える。
二条はイツキの背中を押すように、部屋の中へと入れ、後ろ手でドアの鍵を締める。
入ってすぐが、ダイニングキッチン。最低限のものだけ置かれた殺風景な部屋。
奥に、もう一部屋。
そこに三浦は軟禁されているようだった。
posted by 白黒ぼたん at 01:04
| TrackBack(0)
| 日記
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/190479572
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック
http://blog.sakura.ne.jp/tb/190479572
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック