2023年09月11日
とばっちりイツキ・15
そこから先は、まあ、大騒ぎだった。
三浦は、イツキの前にいた男を突き飛ばし、イツキを護るようにその上に覆い被さり
これから自分の順番と意気込んでいた男は激怒し、三浦を退かそうと、その背に蹴りを入れる。
「……み、三浦さ…ん?」
「…イツキてんちょ、…逃げよう、…立てる?」
「いや、……むり……」
そんな会話をしている間も男の攻撃は続く。
三浦の服の後ろを掴み引き摺る。三浦は抵抗し、繋がれたパイプ椅子ごと腕を振り回し
それが男の顔に当たり、さらに怒りを増大させる。
一歩離れていた場所にいた二条は驚き、その騒ぎに少し見入ってしまう。
抵抗して暴れる、というのは良くある事だったが
なかなか激しい騎士道っぷりだなと、半ば、感心していた。
けれども、事態はそんな悠長に構えている場合では無かった。
「…てめぇ……、ふざけやがって…、いい加減にしろよ…」
派手な上着の男は怒鳴り、その上着のポケットから折り畳み式のナイフを取り出す。
慣れた様子で手首を返すと、刃先が飛び出し、鈍く光った。
威嚇か、一度大きく手を振り回すと、それは三浦の耳を掠り細い赤い線を作る。
そしてそのまま、今度は首筋に刃先を当てる。
「………まあ、待て、待て…」
さすがにマズかろうと二条が声をかける。
丁度、同じタイミングで
テーブルの上にあった連絡用のケータイが、ブルブルと震え着信を告げた。
posted by 白黒ぼたん at 05:40
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