2023年12月23日

イツキも黒川も








「……はぁ?」

「…だから、大したこと無かったって。二条虎松。
俺、あの時、なんか感じが違って……、何かなって思って、確かめてみたんだけど…
……気のせいだったみたい。2回目は普通だった」


イツキがそんな事をポロリと告げたのは、夕食にと入った焼き鳥屋で
すでにビールを数杯飲み、次は日本酒にすると、コップに並々注がれた酒を飲み干し
空いたグラスを傾けお代わりをねだった頃。

カウンターの向こうの店の大将は、いつもの事とは言え
話を聞かない振りをして、イツキのグラスに、また酒を並々と注ぐ。


「ヤったのか。…その男と」

つとめて冷静に黒川は聞き直す。

「ん。昨日。…一昨日?…ハーバルに来て。
虎松さんも俺みたいなのは初めてだったって言って、もう一度、シてみたいって言うから…
……でも、まあ、別に、俺は……。
ああ、でも虎松さんは良かったみたいだよ。次は?次はって、後がしつこくて……」


注がれた酒を飲みながら、イツキは、ふふふと笑いながら言う。
少し憮然とした表情の黒川をチラリと眺め、何か、言われるかな…と間を置き


黒川が何も言わず、馬鹿にしたようにふんと鼻息を鳴らすのを見て


また、ふふふ、と笑う。



「駄目だった? マサヤ。ほら、俺はただの穴だって言われてたから…
使っても、洗って返せば良いって言ってたじゃん。…だから」

「……ああ。そうだな。タワシでも突っ込んで洗っておけ」

「あはは。それは痛いよ」






冗談めかして、イツキも黒川も笑い合っていたけれど

内心穏やかではないのは、イツキも黒川も同じだった。






posted by 白黒ぼたん at 01:14 | TrackBack(0) | 日記
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