2024年02月08日
そんな感じ
「……イツキくん?」
急にイツキに抱きつかれたミツオはきょとんとする。
別れが惜しくて、という訳でも無さそうだが…とりあえず、イツキの肩に腕を回す。
「……どうしたの?………、もっと話し、聞く?」
「いや、……あの。…違います」
2、3分間を置いて、イツキはミツオから身体を離す。
ゆっくりと通りの方を振り返り、先ほど見掛けた人影が、もう無いことを確認する。
その様子を見て、ミツオも何かを察したらしい。
一緒になって、きょろきょろと左右を見渡し、イツキに「大丈夫?」と声を掛ける。
イツキが見掛けたのは、黒川だった。
それも、一人で歩いているならまだしも……、傍に、誰かを連れていた。
中性的な服装で、ぱっと見では女か男かも解らないような、華奢な佇まい。
体格や年齢差を考えれば、親子といった様子だが、黒川に限ってそれは無いだろう。
自分もよく黒川と並んでいる時に、事情を知らない外野からは、親子かと聞かれる事があった。
そんな、感じ。
そうだとすれば、この関係もおそらくそうなのだろうと確信めく。
「…大丈夫、イツキくん。…誰か、いた?……彼氏?」
「……いえ。大丈夫です、すみません。……帰りますね」
「え、あ。……待って、待って……」
ミツオの声と腕を振り払い、イツキはぺこりと頭を下げ、一人で歩き出して行ってしまった。
posted by 白黒ぼたん at 09:57
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