2025年11月19日

黒川と松田








「……お前はどれだけ暇なんだ?」


夕方の事務所にアポイントも無く、ふいに松田が現れ黒川は忌々しげに呟く。
あまり時間に囚われない仕事とは言え、そう頻繁に顔を合わせる程
お互い暇でも仲良しでも無いはずだ。

「いやいや、こっちで一仕事して来た後だよ。はー疲れた」
「なら、とっとと地元に帰れよ」
「まさか!東京に来て黒川さんにご挨拶しないなんて、そんな訳無いデショ?」

松田はオーバーアクションに両手を広げ、冗談めかしてハハハと笑う。
黒川は、フンと鼻で息を吐く。




一瞬、嫌な間が空く。




この事務所には、もう一人、若い男がいた。
ソファに座り、突然現れた見知らぬ男を不思議そうに眺めていた。




黒川は車の鍵を取ると、それを、その男に渡す。
「…すぐに行くから、駐車場の車で待ってろ」と言うと
男は「はい」と答え、そそくさと事務所から出て行った。




再び、妙な間が空く。







「……新しいコ?」


松田は小指を立て、また冗談めかしてそんな事を言うと
黒川は被せ気味に「違う」と言い、さらに嫌な顔をした。





posted by 白黒ぼたん at 23:23 | TrackBack(0) | 日記
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