2025年11月22日

黒川と松田・2








「ただの商売道具だ。変な勘繰りはするなよ」
「へぇ。…そうなんだ」


松田は若い男が出て行った扉を眺め、それから黒川の方へ向き直り
少し、含みのある様子で、小さく笑う。


「ちょっと雰囲気がイツキちゃんに似ている?」
「…ふん。…客層が同じだからな…。ああいうのが、受けがいい」
「黒川さんの好みってやつだ」


その言葉にまた黒川は嫌な顔をして、松田を見る。


おそらく松田は、黒川と若い男との間に身体の関係があると思っているのだろう。
勿論それは間違いでは無いし、そして別段、知られて困ることでも無いのだが
今は少々、状況が、悪い。



「……他に用事が無いなら、帰れ。…俺もこれから仕事だ」
「ああ。いやいや、イツキちゃんの近況報告とか…あったんだけど…」
「引越しは終わったらしいな。ふん。アレでも役に立つことがあったか」


黒川はジャケットと鞄を持ち、デスクを離れる。
自分も出掛けるのだから、もう話は終わりだという風に
そのまま事務所の扉に向かい、ドアを開ける。







posted by 白黒ぼたん at 01:16 | TrackBack(0) | 日記
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