2025年12月20日

何というか








翌日。
仕事の合間を見て、イツキは黒川に電話をする。
ハーバルの仕事は新設の事務所が落ち着くまで…だったが
それがいつになるかは、一向に、予測が立たないまま。



「あ、マサヤ。俺、まだ帰れなくなっちゃったんだけど……いい?」
『…いいも何も。…駄目と言えば帰って来るのか?』
「いや、まだ、無理そう。人が居なくなっちゃって、ちょっと手を離せられなくて…」
『……ふん』


黒川は不機嫌に鼻息を鳴らすものの、駄目だとは、はっきりとは言わない。
一応、イツキの意思を尊重しているらしい。


「でも一回、そっち、帰る。
長くなるなら長くなるで、もう少し着替えとか荷物とか持って行く…」
『いつ?』
「ん、日曜日。お休み貰えたから……」

『ああ、その日は……俺は、いないぞ……。泊まりで…出掛けている』



イツキは、え、と少し戸惑い、息を止める。
帰るのは勿論、荷物の為だけでは無い。
そんな事は、黒川だって解っているはずだ。



「マサヤ、仕事?」

『…ああ』

「…顔、見れないの、ちょっと……ヤだな」

『こっちも少し立て込んでいてな。まあ、どこかで時間を見つけてそっちに行ってやるよ。車なら早い』

「…うん」






そうして、それだけで話は終わってしまった。




自分が来たくてハーバルに来ているのだし
それを許されずに、戻って来いと言われるのは困るのだけど

かと言って、あまりに執着が無さすぎるのも…何というか




何というか。






posted by 白黒ぼたん at 22:33 | TrackBack(0) | 日記
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