2009年01月22日

見知らぬ男

招待された場所は、歓楽街の中の怪しげな店だろうと思っていたけど、少し違った。
夜のネオンが瞬く通りからは外れた、幹線道路沿いの、殺風景なオフィスビルだった。
いくつかの企業が入っているのか、入り口には小さく名前が書かれた看板が掛かっていて
…そのどれだかが解らなくて、迷う。

『来たけど、解らなかった』

と言って、このまま帰ってしまおうかと本気で考えていたら、突然後ろから腕を捕まれた。

「…っ」
「よ、久しぶり。…こっちだぜ」

見覚えの無い男は何故だかそう声を掛けて、俺の腕を引く。
通路の奥に小さなエレベーターがあって、それに乗せられた。

「よく来たなぁ、お前。さすがに度胸、あるのな」
「…あんた、誰?」
「あー? 覚えてねーかー。ま、しゃーないかー。お前、かなりブッ飛んでたもんなー」

話の途中でエレベーターが、5階で止まる。
5階の表示にはピンクの可愛い字で「桃黒ハート企画」と書かれていた。

「…会社?…何の?」
「エロビデオ屋」
「あ、そう…」
「お前のテープもあるぜ?見る?」
「…見ないよ」

解りきった応答に、男はヒッヒッと声を上げて笑った。


多分、この間、レイプされた時に…あの写真と一緒にビデオも撮られていたんだろう。
この男は、その場所にいて、それを見ていたか、俺を犯していたか…


自分の身体が自分の知らないところで勝手に扱われている事は、もう、慣れっこだったけど
それでもむせ返す吐き気を堪えながら、案内されるまま、奥の部屋に入って行った。




posted by 白黒ぼたん at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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