2009年01月30日

社長室の男

そう広くはないフロアには事務机がいくつか並んでいる。
乱雑な事務所といった感じで、パソコンの回りには雑誌やDVDやアダルトグッズが無造作に置かれていた。
奥の部屋は社長室らしく、観葉植物なんかがキレイに並んでいたけど
応接セットのソファが安っぽい黒のビニール張りで、薄暗い部屋の照明に変に照っていた。

デスクに足を投げ出して、パソコンのモニターを見ていた男が顔を上げた。

「いらっしゃい。岡部一樹くん」

ちゃんとした名前で呼ばれて、虫唾が走る。

「まあ、ソコ、座って。ああ、濡れてないかな? 村田、茶でも入れてやって」

村田と呼ばれた俺を連れて来た男は、俺をソファに座らせると、一旦部屋から出て行く。
すぐに戻って来た手には、500mlのペットボトルと紙コップを持っていた。

「悪いね、こんなものしかなくて」

アーロンチェアから立ち上がった男は上背があって肩幅もあって、それだけで威圧される。
物腰は穏やかだったが、黒縁の眼鏡の奥の目元は、全然笑っていなかった。
まだ、小太りの「村田」の方が愛嬌があって良かったと、そんな事を思いながら
上目遣いに眼鏡男を見やって、話す。

「…用件は?…俺をどうするの?」
「んー。それは一樹くん次第って所だけどね」
「その一樹くんって、止めて」
「そう?」

男はソファの後ろ側に立って、俺の両肩に手を置いた。
長くて細い指が首筋に当たる。

「黒川社長からね、買ったんだよ」
「マサヤから?何を?」
「君を」
「……は?」

言葉の意味を考えているすきに、男の手が肩から落ちて、俺の手首を掴まえる。
すかさず村田がロープか何かで、それを背中で束ねてしまった。




ちゅじゅく
posted by 白黒ぼたん at 00:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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