2009年03月13日

ホテルにて

ホテルに着くと村田はすぐにバスルームに向かった。
バスタブに湯を張り、シャワーで室内を温めて、タオルなどを用意する。
そして、まるで大切な姫君でも迎えるようにイツキの手を引いて、イツキを風呂に案内してやった。

「…大丈夫だよ。1人でも…」
「あ、ああ…」

思わず服を脱ぐことまで手伝おうとする村田だったが、イツキにそう言われて、出した手を引っ込めた。



「なんだかなー…。調子、狂うな…」

バスルームの水音を聞きながら、村田はソファに座り、冷蔵庫からビールを出した。
さんざん自分たちの手で汚して酷い目に合わせて来たのに、今更、こんな同情めいた感情を持っても仕方ないだろうに…
これまでにも女優に気を使うことはあったが、それとは何かが違う。
さすがに社長が特別扱いするだけの事はある。これ以上関わるとヤバイ…と、直感的に思った。


ビールを1本飲み終えた所で、イツキがバスルームから出て来る。
濡れた髪をタオルでゴシゴシやって、色気とはまるで無関係にフツーにペタペタ歩いてくるだけなのに
その一挙手一投足から目が離せない。
ベッドに上がって、足元の毛布を引き上げて、その中に潜り込んで
自分をチラリと見上げる視線に、背筋がゾクゾクと感じた。
赤い唇がかすかに動いて、潤いを求めるように舌舐めずりをする。
少し目を伏せたかと思うと、もう一度開いて村田を見て、もじもじと身体を揺すった。





「してよ。優しくしてって、言ったじゃん…」


イツキがそう言い終わる前に、村田はもう、イツキの身体を毛布ごと抱き締めていた。




posted by 白黒ぼたん at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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